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「ヤクザを弁護する人が孤立化」ドキュメンタリー映画『ヤクザと憲法』トークイベント
2015年11月17日 10時23分

大阪にある暴力団事務所の日常を密着取材したドキュメンタリー映画『ヤクザと憲法』の先行試写会とトークイベントが11月15日、東京都内でおこなわれた(主催:早稲田大学ジャーナリズム研究所、協力:ジャパンドックス)。

この映画は、東海テレビが制作した作品。大阪府堺市の指定暴力団「東組」の二次団体「清勇会」の事務所にカメラが入り、半年以上にわたって撮影した。暴力団対策法や暴力団排除条例の影響で激減しているといわれるヤクザたちが、今どんな暮らしをしているのかに迫った。

登場するのは、もちろん本物のヤクザたち。取材中に事務所が警察の家宅捜索を受けるところや、組長が「暴対法の影響でヤクザが普通の生活を送れなくなった」と苦悩を語るシーン、事務所に入ったばかりの21歳の若者の内面など、現代ヤクザの実態の一面を描いている。

大阪にある暴力団事務所の日常を密着取材したドキュメンタリー映画『ヤクザと憲法』の先行試写会とトークイベントが11月15日、東京都内でおこなわれた(主催:早稲田大学ジャーナリズム研究所、協力:ジャパンドックス)。

この映画は、東海テレビが制作した作品。大阪府堺市の指定暴力団「東組」の二次団体「清勇会」の事務所にカメラが入り、半年以上にわたって撮影した。暴力団対策法や暴力団排除条例の影響で激減しているといわれるヤクザたちが、今どんな暮らしをしているのかに迫った。

登場するのは、もちろん本物のヤクザたち。取材中に事務所が警察の家宅捜索を受けるところや、組長が「暴対法の影響でヤクザが普通の生活を送れなくなった」と苦悩を語るシーン、事務所に入ったばかりの21歳の若者の内面など、現代ヤクザの実態の一面を描いている。

●「ヤクザの世界から社会をみる視点を提示したい」

試写会後のトークイベントには、プロデューサーの阿武野勝彦さん(東海テレビ)と監督の土方宏史さん(東海テレビ)、法律監修をおこなった安田好弘弁護士、作家の宮崎学さんが登壇して、映画をつくった経緯や、その背景にある問題について語り合った。

監督をつとめた土方さんは、ドキュメンタリー制作のきっかけについて、「怖いもの、ヒエラルキーの頂上にいる存在だと思っていたヤクザが現在、悲惨な状況におかれている。実は、一番弱い状態にあるかもしれないというのは、語弊があるかもしれないが、『面白い』と思った」と話した。

プロデューサーの阿武野さんは「誤解していただきたくないのは、ヤクザを肯定するために、このドキュメンタリーをつくったわけではないということ。あくまで『人間と社会』を描くという目的で、それがたまたまヤクザだった。ヤクザの世界から社会をみる視点を提示することで、小さな風穴をあけたかった」と語った。

●「ヤクザの弁護をしているだけで『悪だ』と決めつけられる」

『ヤクザと憲法』には、指定暴力団「山口組」の顧問弁護士をつとめるなど、長年にわたって暴力団の弁護活動を続けてきた山之内幸夫弁護士も登場する。山之内弁護士は、過去に恐喝容疑で逮捕・起訴されたが、そのときは無罪となった。だが、この映画のなかで、別の事件で起訴され、再び罪に問われることになった山之内弁護士の苦境が描かれる。

同じ弁護士として、「光市母子殺害事件」など社会的に注目される事件をあつかってきた安田さんは「『絶対悪』といわれているヤクザの弁護をしているだけで、弁護することが同時に『悪だ』と決めつけられている。少数派であっても、差別や公害など苦しめられている人たちの弁護士だと、おそらくああいう悲劇は生まれなかった」と話した。

安田弁護士はさらに「いま弁護士業界で、暴力団の人を弁護するのは『嫌だ』という感覚が蔓延している。各地域で暴力団の弁護をするのは、特定の人になっている。若い弁護士や事務員が就職を避けており、暴力団が排除されると同時に、弁護する人も孤立化している」と指摘していた。

映画『ヤクザと憲法』は2016年1月2日から、ポレポレ東中野ほか全国で順次公開される。

(弁護士ドットコムニュース)

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