9172.jpg
元SKE山田樹奈さん逮捕、出会いアプリで「必ずもうかるロジック」伝えることの罪
2021年03月19日 12時25分

為替相場の上下を予想して投資する金融商品「バイナリーオプション」の助言名目で現金をだまし取ったとして、アイドルグループ「SKE48」の元メンバー山田樹奈さんらが3月16日、詐欺や特定商取引法違反(不実告知)などの疑いで愛知県警に逮捕された。

読売新聞(3月16日)によると、山田さんらは2020年1月31日、男性に対し「(必ずもうかる)ロジックがある」などとうそを言って信用させ、バイナリーオプションの助言料名目で現金50万円をだまし取った疑い。

SNSでもバイナリーオプションを紹介するアカウントは多数あり、「投資初心者でもOK」、「楽して稼げる」とうたうものもある。

果たして山田さんらの行為は、何がアウトだったのだろうか。金田万作弁護士に聞いた。

為替相場の上下を予想して投資する金融商品「バイナリーオプション」の助言名目で現金をだまし取ったとして、アイドルグループ「SKE48」の元メンバー山田樹奈さんらが3月16日、詐欺や特定商取引法違反(不実告知)などの疑いで愛知県警に逮捕された。

読売新聞(3月16日)によると、山田さんらは2020年1月31日、男性に対し「(必ずもうかる)ロジックがある」などとうそを言って信用させ、バイナリーオプションの助言料名目で現金50万円をだまし取った疑い。

SNSでもバイナリーオプションを紹介するアカウントは多数あり、「投資初心者でもOK」、「楽して稼げる」とうたうものもある。

果たして山田さんらの行為は、何がアウトだったのだろうか。金田万作弁護士に聞いた。

●勧誘の意図を隠して呼び出してもアウト

——山田さんらの行為は、法的に何が問題ですか。

まず、実際にはバイナリーオプションで利益を得る方法(ロジック)がないとすれば、その方法があってそれを教えるかのように説明して、投資指導料(助言料)として現金を受け取ったことについて、人を欺いて財物を交付させたとして、刑法246条1項の詐欺罪に該当します。

具体的な勧誘文言は報道でははっきりしませんが、「必ず」儲かるロジックがある、という説明をしていれば、そんな方法は現実には存在しないので、実際に何か投資手法を指導助言していたとしても、詐欺罪に該当します。

また、報道によると、出会い系アプリに登録し、知り合った男性を誘ったということです。

この場合、バイナリーオプションの投資指導契約の勧誘の意図を隠して呼び出して、契約をさせているので、いわゆるアポイントメントセールスとして特定商取引法2条1項(2号)の訪問販売にあたります。

バイナリーオプションで利益を得る方法を教えるというのが役務の内容になるので、そのような方法はなく虚偽(不実)であれば、特定商取引法6条1項1号の不実告知に該当します。

なお、実際に有償でバイナリーオプションの投資判断(売買の別・時期)に関する助言を行っていれば、金融商品取引法2条8項11号(ウ)の「投資助言行為」に該当し、無登録営業で違法となります。

——もし助言料をもらっていなかった場合は?

助言料をもらっていないとすれば、詐欺罪の要件である「財物の交付」がなく、無登録営業の要件である「有償の役務提供」でもないので、いずれも該当せず、法的には問題ありません。

●投資には必ずリスクがある

——バイナリーオプションをはじめ、こうした金融商品の契約ではどのようなことに注意すれば良いですか。

金融商品含めた投資にはリターン(利益)だけでなく必ずそれに見合った又はそれ以上のリスクがあります。

一般的な金融商品でもリスクがあり、金融商品取引業の登録を受けた業者にのみ取り扱いが許され、規制や業者に説明義務などが課されていますが、それでもトラブルがあるのが現状です。

説明されて理解したつもりでも、十分にリスクを理解できていなかったという事例も多く、慎重な態度が望ましいです。

通常の金融商品以外でも、少し前は未公開株・社債・ファンドなどから不動産(原野・マンション)・FX・海外事業・暗号資産(仮想通貨)などを巡り、詐欺的な投資勧誘による消費者トラブルが多く発生しました。

最近では、SNSや出会い系アプリを経由した投資勧誘による消費者被害が若者から中高年まで増えています。

金融商品などの高額な契約をする際には、自分ひとりで判断せずに、家族や周りの人に相談したりするのが望ましいです。投資勧誘トラブルで困った際には、被害回復に繋がる可能性がありますので、すぐに消費生活センターや弁護士に相談してほしいです。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る